豊富町から30分くらい走って
「幌延町」に入ったのだ。
早速
「幌延深地層研究センターゆめ地創館」を見学する。草原のなかに巨大な施設があるのだ。

幌延町はかつて、過疎化対策の一環として
「高レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設」の誘致を試みたが、地元団体や北海道からの強い反発を受けた。
その結果、北海道、幌延町、そして核燃料サイクル開発機構の三者間で
「深地層の研究に関する協定書」が結ばれることとなり、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設ではなく、深地層に関する研究を名目とした
「幌延深地層研究センター」が設立されたのだ。
この協定により、誘致計画は一旦棚上げとなっている。
そして、ここ
「ゆめ地創館」は、その
「幌延深地層研究センター」に隣にあり、研究内容を一般に紹介するための広報施設として運営されているのだ。
「幌延深地層研究センター」は、あくまで研究施設であり、実際に
「放射性物質を持ち込まない」約束になっているらしい。

まずは基礎知識をお勉強するのだ。
「核燃料サイクル」とは、原子力発電で使用したウランから、燃えたウラン、燃え残りのウラン、そしてプルトニウムが残るのを再処理して、再び燃料として使えるウランとプルトニウムを抽出し、再利用する仕組みのこと。
こうすることで、限りある核燃料を効率よく活用できる。
ただし、この処理の際に
「高レベル放射性廃液」が発生し、これを安全に処理するために、ガラスに混ぜて固めた
「ガラス固化体」として30~50年間、地上の保管施設で管理し、放射能が一定程度減衰した後、地下の貯蔵施設に移して半永久的に保管する計画になっているのだ。

地底500メートルにある地下施設へと向かうエレベーター。
「ゆめ地創館」に設置されているものは疑似体験用エレベーターなので、実際には地底へは行かず、モニターに映し出される映像も模造されたもの。
しかし、本物と同じように約4分かけてゆっくりと降下する仕組みになっていて、まるで地下深くに潜っていくような臨場感がある。

トンネルのような地下施設。SFの世界みたいなのだ。

そこには研究施設があり、地質構造の解析や、放射性物質を長期間安全に保管するための技術が研究されている。

保管方法としては、
「放射性物質」を固めた
「ガラス固化体」を、まず放射線を遮断する厚い金属製の容器に入れ、さらにコンクリートで囲んで保管する。
このひとつの囲いを
「バリア」、さらに複数のバリアを重ねる仕組みを
「多重バリアシステム」と呼ぶのだ。
「多重バリアシステム」は非常に頑丈に作られているが、この
「放射性廃棄物」から放出される放射能が無害なレベルに減衰するまでには、1万年以上の長い時間が必要なのだ。
将来的に人類の科学技術が進歩し、いずれ安全に処理できるようになるだろうという期待の上に成り立っているのだ。
「ゆめ地創館」には、地上50mのタワーがあり、その上部に展望台がある。
天気が良いときは、利尻富士を眺めることができるほか、大きな建物が何棟もある
「幌延深地層研究センター」の全貌を見渡すことができる。

帰りに少し寄り道して、車で15分くらい走ったところにある
「JR幌延駅」にも立ち寄る。

のどかな田舎の風景が広がる町で、ゆるキャラクターとして、トナカイの
「ホロベー」と、寒冷地で咲くブルーポピーの妖精
「ブルピー」がお出迎えしてくれる。
「JR幌延駅」も、昭和の香りが漂う駅舎で、どこか懐かしい雰囲気がある。
「秘境駅の里」というコンセプトらしい。


駅の売店には
「ホロベー」「ブルピー」グッズがたくさん売られている。もちろん買って帰るのだ。

■施設の情報
幌延深地層研究センターゆめ地創館
住所:北海道天塩郡幌延町字北進432番地2
開館時間:午前9時~午後4時
休館日:毎週月曜日、年末年始