月形町では最後に、町役場のお隣にある
「月形樺戸(つきがたかばと)博物館」を見学する。
「月形樺戸博物館」は、明治14年(1881年)に建設された刑務施設
「樺戸集治監(かばとしゅうちかん)」の建物をそのまま保存活用した歴史博物館なのだ。

当時の北海道は、まだ未開の地が広がっており、国策として開拓が急がれていた。背景にはロシア帝国の南下政策に備える必要があり、そんななか、開拓の労働力として全国から囚人が送り込まれ、北海道各地に
「集治監」と呼ばれる収容所が設置されていった。その代表的な一つが、この
「樺戸集治監」なのだ。

建物の正面にある石段は、すり減って丸みを帯びている。

かつては鉄の重り(鉄玉)を足に引きずった囚人たちが、毎日ここを行き来していたという。
「集治監」とは、明治時代の新政府が設けた特別な刑務所で、特に西南戦争で西郷隆盛側に付いた者など、政治犯が多く収監されていた。彼ら囚人の労働によって築かれたのが、日本最長の直線道路として知られる
「上川道路(現在の国道12号線)」なのだ。

館内は撮影禁止だったが、かつての実際の書類、囚人や看守の生活を伝える道具や衣服、さらには当時の様子を描いた映像など、
「集治監」の歴史を感じ取れる内容になっている。(写真は
「月形樺戸博物館」のパンフレット)

博物館の一角に、樺戸集治監の初代典獄(所長)
「月形潔(つきがたきよし)」の銅像が立っている。
「月形町」とは
「月形潔」の姓からとられており、まさにこの町の歴史は集治監の歴史そのものなのだ。

■施設の情報
月形樺戸博物館
住所:樺戸郡月形町1219番地
開館時間:9:30~17:00(最終入館:16:30)
開館期間:3月20日~11月30日(無休)
(休館日:12月1日~3月19日)